インコとの生活

今回の「徒然日記」は、皆さまへのご質問から始めたいと思います。
「老人ホームに入る」ということに対して、マイナスな印象や、「何かを諦めなければならない」というお考えをお持ちではないでしょうか。近年、老人ホームに対するネガティブな印象は薄れてきているかもしれませんが、「何かを諦めなければならない」という印象は、まだまだ根強く残っているように感じます。
今回の「徒然日記」では、「諦めきれなかった想い」についてお話しさせて頂きます。
ある日、ケアマネジャー様から「施設に入居されている方で、どうしても諦められないことがあるようなので、相談に乗っていただけませんか」と連絡があり、それは「大好きなインコを飼って、施設での生活を送りたい」というものでした。
簡単なことに聞こえますが、老人ホームでペットを飼うことのハードルは想像以上に高いものです。飼育はご本人様が行うことが原則となるため、不測の事態が起こっても施設が引き取ることはできません。
また、毎月の費用、感染症対策、他の入居者様からの声など、様々な側面への配慮と対策が必要になります。しかし、J様はインコとの生活をどうしても諦めきれなかったのです。
69歳のJ様は、身体面と精神面での支援が必要で、ご親族は遠縁の叔母様がいらっしゃるのみで、ご自宅も既に売却されており、在宅介護サービスの利用や高齢者マンションなど、比較的自由が確保される環境での生活維持が難しかったため、施設に入居されていました。
その施設では、庭に小鳥が訪れるため毎日餌をあげて心を癒しておられたのですが、施設の衛生面を保てないという理由で餌やりが禁止となり、心が落ち込むと同時に「インコと生活したい」という諦めきれない想いが募っていったそうです。
早速面談に伺い、ご希望に沿った施設探しに取り掛かりました。施設はなんとか見つかったものの、やはり課題となるのは「ご本人様に何かあった時にどうするのか」という点です。
そこで、J様と一緒に遠縁の叔母様宅に伺い、事情を説明することにしました。転居すると施設費用が上がることもあり、すぐには引き受けて頂くことはできませんでしたが、話し合いを重ねることで、叔母様が協力してくださることになっただけでなく、施設様も「何かあればこちらで引き取ることも考えますよ」と、皆が協力してくれることになりました。
これにより、J様はすぐにご入居を決められました。施設への転居から数日後、一緒にインコを買いに行くお手伝いもさせて頂きました。
現在、J様はインコと一緒に新しい環境での生活に満足されているようです。「あの時、相談して良かった。諦めなくて本当に良かった」と、頭にインコを乗せながらお話しされるJ様の笑顔は忘れられません。
今回はJ様の想いを叶えることができました。リハビリの継続や単独での外出、簡単な自炊など、個人の想いは様々でしょう。私たちとしては、決してその想いを諦めてほしくないと考えています。
「任せてください、何とかします!」「一つでも多く願いを叶えます!」が私たちの理念です。皆様、難しいと諦める前に、まずはご相談ください。